東京副都心から、新幹線へのアクセスの際利用することが多い大宮駅。逆に大宮で新幹線から降りて東京副都心に行く乗客も多い。また、新幹線でなくても大宮と副都心間を移動する人は多いだろう。そのとき何線を使うのか? 埼京線と湘南新宿ラインの二つがが挙げられる。ではこの2つの路線の特徴を見ていこう。
まずは埼京線。埼京線の大宮から新宿の所要時間は、日中だと37分。かなり前だが快速は武蔵浦和以北で各駅に止まるようダイヤ改正されたため、速達性に欠ける。最高速度も100km/hである。快速は毎時3本になり、それに乗れなかった場合、快速の間を走る毎時3本の各駅停車に乗ることになる。ちなみにその各駅停車は新宿行きで、その先の渋谷や恵比寿、大崎に直接はアクセスできない。利便性も欠けているのだ。
次に湘南新宿ラインを見ていく。所要時間は31分か32分。埼京線よりも速い。停車駅もかなり少なく最高で120km/hを出すが、赤羽から池袋間で遠回りの線路を走るため、少し遅くなってしまう。そして本数は毎時4本。埼京線の快速のみと比べれば多いし、各駅停車を含めて比べれば少ない。日中時間帯のダイヤを見てみると、南行は丁度15分に1本なのだが、北行は20分と10分の繰り返しのところが多かった。20分空いてしまうところがあるのだ。(20分空く理由として推測できることは、武蔵小杉以北の相鉄直通の電車が加わる駅での、新宿方面の電車の運転間隔を調節するためだと思われる)。
とはいっても北行は埼京線と湘南新宿ラインで出発するホームが同じなため、来た電車に乗ればよいのかもしれない。しかし南行はどうだろう。大宮駅の埼京線と湘南新宿ラインで出発するホームは違う。また湘南新宿ラインだけで見ても、宇都宮線から来た電車と高崎線から来た電車とで出発するホームが違うのだ。乗り換えアプリや駅の電光掲示板をしっかり確認すれば大丈夫ではあるが、利用者にとって分かりにくいだろう。埼京線も埼京線で、川越線から直通してくる電車と大宮で折り返す電車で使用するホームが違うことがある点が少し分かりにくい。
ではJR側の視点に立った時、大宮から副都心への移動はどちらを使ってほしいのかを考えてみよう。筆者の考えとしては、JRは湘南新宿ラインを使ってほしいと考えていると思う。埼京線はどうしても、池袋から大宮間での各駅停車の利用者の輸送も担わなければならない。一方湘南新宿ラインの各駅停車(上野東京ラインの各駅停車もだが)は、京浜東北線が担ってくれている。また埼京線の各駅停車で大宮から副都心を移動しようとすると正直遅すぎて我慢できない。そして快速のみで考えると毎時3本しかない埼京線と比べれば、本数も多く速達性もある湘南新宿ラインを使ってほしいと思う。
ただし先程述べた通り、湘南新宿ラインにも問題がある。本数が少ないことと、大宮駅での発車するホームが分かりにくいことだ。ではこの課題を解決できるかを考えてみよう。
一つ目の本数の問題に対して、まず考え着くのは毎時6本に増発するということだ。しかしそうすると、ただでさえ過密な山の手貨物線の線路容量がひっ迫することになる。新宿駅を出発する北行の電車は、毎時埼京線9本と湘南新宿ライン4本の毎時13本である。南行は、埼京線3本、湘南新宿ライン4本、相鉄直通の電車が2本、成田エクスプレスが2本の計11本になる。これだけ見れば、プラスで毎時2本の湘南新宿ラインを増発することは可能だろう。ただし主に休日は、南行は特急踊り子やサフィール踊り子が、北行は東武線乗り入れの鬼怒川や日光などの特急が追加で走る。また湘南新宿ラインや相鉄直通の電車は走行範囲が長く、その分遅れやすいというデメリットがある。そして最大の問題が、山の手貨物線には貨物列車が通るということだ。貨物列車は一編成が長く、そのぶん1個の閉塞距離を長くしなければならない。これを解決しようとすると、ATACSなどを導入するという案も考えられるが、貨物列車にまで改造をしなければならなく、相当な費用がかかってしまうだろう。ただ朝ラッシュ時はそれでも日中より多く走っているので、絶対にできないかというとそうではないかもしれない。
次に二つ目の課題に関して、これは大宮駅での配線工事を行わなければならない。貨物列車も多く走るため、そのことも考えながら便利な配線を作ることは、それだけで難しいことだと思う。しかし本気でJRがその気になればできなくないと思う。それでも相当な費用がかかってしまうと思うが。