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利権なんかじゃない! 北陸新幹線が米原ルートではいけない理由とは -北陸新幹線線③

北陸新幹線の敦賀~新大阪間は「小浜・京都ルート」で決定されていますが、様々な問題がありいまだに着工されていません。そんな中、北陸新幹線の新大阪までの早期開業を求めて「米原ルート」に変更するべきだという意見が大きくなっています。しかし米原ルートにも問題点が多い事実があり、この事実を知らずに米原ルートにすれば全てが解決すると思い込んでいる人が多いように見受けられます。さらには、小浜・京都ルートは政治家の利権なんだと決めつけて批判している人も多くいるくらいです。そこで、米原ルートの欠点を挙げてみました。

北陸新幹線で用いられるE7系・W7系(大宮駅にて)

 

 

 

 

1.東海道新幹線に乗り入れすることはできない

米原ルートは、米原駅にて東海道新幹線に接続するだけであって乗り入れは行われません。乗り入れができない理由として鉄道運輸機構が挙げているのは以下の3つです。

①東海道新幹線の線路容量が圧迫している。

②運行管理システムが異なる。

③脱線逸脱防止対策の方式が異なる。

②と③は技術的な課題です。克服するためには新たな技術開発が必要であり、費用と時間がかかります。米原ルートは建設費用が安いことがメリットなのに、これでは意味がありません。また早期開通を求めるために米原ルートにしたのに、技術開発に時間がかかっていてはこれまた意味がありません。では技術開発が完了したら乗り入れを始めれば良いと思うかもしれません。しかし①の、東海道新幹線の線路容量が圧迫していることが東海道新幹線に乗り入れすることができない最大の理由なので、やはり直通することはできません。ここで、リニアが新大阪まで開通したら東海道新幹線の本数は減るのだから問題ないのではと考える人もいるかもしれませんが、実は線路容量に空きはでません。東海道新幹線の輸送能力は、一編成あたり定員1,319人×1時間あたり16本で21104人です。一方リニアは、一編成あたり店員1000人×1時間あたり8本で8,000人となり、半分にも及びません。お盆やお正月などの繁忙期、指定席の予約状況に軒並み✕が並ぶことを考慮すれば、北陸新幹線が東海道新幹線に入り込む隙間はないとわかります。①が最大の理由で、東海道新幹線に乗り入れすることはできないのです。

 

2.米原ルートは乗り換えが必要でしかも高い

東海道新幹線に乗り入れできないとなると、そもそも米原ルートを建設する目的が減ります。米原で乗り換えるとなれば、現状敦賀での乗り換えが米原に移るだけですし、なのに現状の湖西線経由より米原経由の方が距離が長いため必然的に運賃は高くなります。新幹線区間が長くなるのでさらに運賃は高くなり、遠回りをするので新幹線を使ったとしても所要時間短縮効果は限定的です。唯一米原ルートを建設する意味があるとすれば、名古屋などの中京圏から北陸へのアクセスが簡単になることです。でもそれくらいしかメリットがないのに東海道新幹線に乗り入れできない米原ルートを建設するのは、コストが安いから計算上の費用対効果が大きく算出されているものの実際には意味のないものなのです。米原ルートを建設するくらいであったら、現状の敦賀止まりで良いと言わざるをえません。

 

 

 

3.反対する当事者がいるから

ここのパートは、拡大解釈をすれば利権とも言えるところです。反対している当事者は、福井県と滋賀県とJR西日本の3主体。順番に見ていきます。

・福井県

福井県が反対する理由は明確です。小浜市を通る予定だったのに、通らなくなってしまうからです。新幹線が来るという話をしていたのにやっぱ来ませんは、納得いかないでしょう。

・滋賀県

もし米原ルートになった場合、そのほとんどの区間が滋賀県であることから、滋賀県は相当なお金を支出しなければなりません。しかし滋賀県にあまりメリットはないことから、滋賀県は同意しないでしょう。

・JR西日本

JR西日本が受けるデメリットは、米原ルートにするとドル箱路線である北陸~関西間の乗客の運賃の一部を東海道新幹線を運営するJR東海に奪われてしまうことです。これはJR西日本としても絶対に避けたいことでしょう。

 

まとめ

米原ルートが小浜・京都ルートの代替案にはならないことが分かったと思います。一方、米原ルートのデメリットのみを挙げると小浜・京都ルートが素晴らしい案のように見えてしまいますが、実際にそんなことはないんですよね。難しいところです。現状は敦賀で乗り換えが発生しているので、新大阪まで延伸して、これがなくなればいいなと思う次第です。

 

以下の資料を参考にしました。

https://www.mlit.go.jp/common/001152043.pdf

https://www.jrtt.go.jp/project/turuhannrennrakukaigi5.pdf

 

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