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北陸新幹線の新大阪延伸のルート案が正式に公表されました! -北陸新幹線編②

本日8月7日、国土交通省鉄道局ならびに鉄道・運輸機構より、北陸新幹線(敦賀・大阪間)詳細駅位置・ルート図(案)が公表されました。この公式資料では、ルートの全体図・京都駅付近の詳細図と位置の比較、地下水の影響について・工期や概算事業費について・今後のスケジュールについて、などが示されています。それぞれ、詳しく見ていきます。

北陸新幹線で用いられるE7系・W7系(東京駅にて)

 

 

 

 

ルート全体について

ルートの全体図についてです。

ルートの全体図(国土交通省鉄道局 鉄道・運輸機構より)

明かり区間はほんの少し、ほとんどがトンネル区間です。桂川案になったとしても京都駅付近は地下になるというのには驚きました。概算事業費は約3.4~3.9兆円、今後の物価上昇を加味すると約4.8~5.3兆円になるということです。京都駅の桂川案が一番安く、南北案が一番高い費用がかかります。また工期に着目すると、新大阪駅の設置に25年、京都駅の設置に20~28年かかるので、つまり25年から28年で完成ということが読み取れました。

 

京都駅について

次は京都駅についてみていきます。

京都駅3案の比較(国土交通省鉄道局 鉄道・運輸機構より)

京都駅の3つの案の課題・工期・乗り換え利便性が表記されています。それぞれの案の重要なポイントをまとめてみました。

①東西案 地下鉄烏丸線などの既設地下構造物を避けるため駅が深く(約50m)工期を要するが、乗り換えにかかる時間は一番短い

②南北案 工期が一番短く20年程度であるが、駅部において大型物件の用地協議・取得が必要であるため費用が一番高い。

③桂川案 JR京都線をアンダーパスする府道などの既設地下構造物を避けるため駅が深く(約50m)工期を要し、また乗り換え時間が一番長いが、一番コストを抑えることができる。

なお京都市内の地下水への影響ですが、①シールドトンネルは基本的に水を通さない構造でありトンネル内に地下水を引き込まない、②京都市街地の地下水は、浅い層・深い層ともに地下水が面的に流れているため、十分な厚さがある帯水層に対しシールドトンネルは点の構造物となり、地下水をせき止めないことから「シールドトンネルによる地下水への影響は発生しないと考えている」と明確に否定されていました。

①~③の中で、みなさんはどのルートが良いとお考えでしょうか。ぜひコメントにお書きください。

 

工期や概算事業費について

工期や概算事業費について(国土交通省鉄道局 鉄道・運輸機構より)

工期は、平成28年度当時から平均約10年程度延長、概算事業費は約1.3兆円~1.8兆円増加しています。さらに、近年の物価上昇率を踏まえ今後年2%上昇すると仮定すると、上記の表にはありませんが約2.7兆円~3.2兆円上昇することになります。東西案と南北案を比べた時、今後の物価上昇を加味しないと南北案の方が高くなるのですが、物価上昇を加味すると東西案の方が高くなることに気付きました。今後も物価上昇が続くと考えるのであれば、東西案が南北案で比較したときに南北案の方がメリットが圧倒的に多いということがわかります。

 

 

 

今後のスケジュールについて

今後のスケジュールについて、最短で進んだ場合は令和8年1月から3月の間で工事実施計画認可・事業着手となるそうです。多くの人が予想していたより遅いのではないでしょうか。2026年から工期が25年必要ということになると、開業は2050年を超えてしまいます。過去の事例から、政府の支援で前倒しされる可能性はゼロではないですが、相当先のことのように感じてしまいます。北陸新幹線の新大阪延伸については、工期や費用の面以外もデメリットもたくさん存在するものの、個人的には1日でも早い開通を迎えられたらいいなと感じています。

 

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